原付の廃車と聞くと、「もうその原付には乗れなくなる」そう思いがち。たしかに廃車にともない解体してしまえば、もう乗ることはできません。でも車体が残っていれば、一旦廃車した原付も、再登録することでまた乗ることができるようになります。この記事では、廃車した原付にふたたび乗る方法について解説します。
車でもバイクでも、廃車する際にはナンバープレートを返却することになります。原付(排気量125cc以下)の場合、廃車・登録手続きはもよりの自治体の窓口で行います。ちなみに排気量126cc以上のバイクの場合、窓口はお住まいの地域を管轄する陸運支局になります。
自治体により多少の差異はありますが、以下、廃車する際の状況によって廃車手続きに必要なものについてみていきます。なお自治体によっては区役所や市役所の窓口だけでなく、郵送でも手続きを行えるところもあります。
なお廃車する際注意点として、できるだけ3月までに済ませるようしましょう。原付はじめ、バイクには軽自動車税がかかります。これはその原付に乗っていようと乗っていまいと、所有していれば所有者にかかります。その基準は「毎年4月1日時点でその原付(バイク)を所有している人」に対してかかるのです。
つまり4月に入ってからすぐに廃車した場合、そのバイクに乗らなくても1年分の軽自動車税を負担することになってしまうのです。廃車を考える時期が3,4月ごろになる場合、この点にも留意しておきましょう。
自治体(市区町村)により多少差異はありますが、手続きにはおおむね以下のものが必要です。
・軽自動車税(種別割)廃車申告兼標識返納書
・ナンバープレート
・標識交付証明書
・本人確認書類
・印鑑
・石ずり
「軽自動車税(種別割)廃車申告兼標識返納書」は市区町村の窓口でももらえますし、自治体によってはホームページからダウンロードできるようになっている場合もあります。できれば、実際に窓口におもむく前に用意しておければベターです。
内容は住所氏名のほか、原付の型番や年式、標識(ナンバープレート)の返納の有無や、返納しない場合はその理由などを記入します。
ナンバープレートは、もし紛失していても再発行が可能です。ただし後述しますが、バイクを盗難・紛失した場合は、ナンバープレートを紛失していても廃車手続き自体は可能です。
「標識交付証明書」は、ナンバーを取得した際に一緒に配布される書類です。原付には車検がありませんが、標識交付証明書は、いわば車における車検証のような役割をする書類です。原付に関する手続きを行う際は、さまざまな場面で必要になります。
「石ずり(石刷り)」とは、車台番号の上に紙をあて、上からエンピツなどでこすって複写したものです。車台番号の確認として使われますが、不要とする自治体も多くなっています。ただ取得するには車体そのものが必要なため、必要である場合は、できれば窓口におもむく前に用意しておいた方がいいでしょう。
なお原付の廃車手続きは、所有者本人ではなく代理の人が行うこともできます。この場合は、代理人の本人確認書類が必要です。また代理人ではなく、法人が手続きを行うこともできます。この場合は所有者本人と、その法人との関係を示すものが別途必要になります。
原付が盗難にあったり原付を紛失してしまったりした場合は、上でご説明した「廃棄・譲渡・転出」の場合に必要なものに加え、警察への届け出(盗難届)が必要になります。
盗難・紛失の場合は原付の車体そのものがないため、ナンバープレートの返却ができません。市区町村の窓口で、警察への盗難届の確認が行われます。このため廃車手続きを行う前に、警察に盗難届を出しておく必要があります。
一旦廃車した原付を再登録してふたたび乗る場合、必要となるのは以下の書類です。
・軽自動車税(種別割)申告(報告)書兼標識交付申請書
・廃車証明書
・本人確認ができるもの
「軽自動車税(種別割)申告(報告)書兼標識交付申請書」は、廃車手続きでご説明した「軽自動車税(種別割)申告(報告)書兼標識交付申請書」に名前が似ていますが、書式や記載が必要な項目もよく似ています。ただ当然ながら、ナンバー返却の有無やその理由を記載する項目はありません。
「廃車証明書」は、廃車した際にもらえる書類です。もし紛失しても再発行してもらえます。再登録は廃車時の手続きと同様に、代理人や、法人が手続きを行うことができます。本人確認書類や、本人との関係を示すものが必要になるのも同様です。
必要なものがそろえば、もよりの自治体の窓口(市役所や区役所、町役場など)で手続きをするだけです。新しいナンバープレートを取得し車体に取り付ければ、一旦廃車した原付も、晴れてまた乗車できるようになります。
廃車して再登録する場合、同じナンバープレートのまま再登録することはできません。廃車するということは、ナンバープレートを返却することになります。
つまり売却や譲渡で名義が変わった場合、同じナンバープレートで乗り続けることはできません。一旦廃車手続きをし、新しいナンバープレートを取得し、違うナンバーで乗るという流れになることを覚えておきましょう。